# データプロパティとメソッド
# データプロパティ
コンポーネントの data
オプションは関数です。Vue は新しいコンポーネントのインスタンスを作成する際に、この関数を呼び出します。これはオブジェクトを返すもので、 Vue はオブジェクトをそのリアクティブシステムでラップして、コンポーネントのインスタンスに $data
として格納します。便宜上、そのオブジェクトのトップレベルのプロパティは、コンポーネントのインスタンスを介して直接公開されます:
const app = Vue.createApp({
data() {
return { count: 4 }
}
})
const vm = app.mount('#app')
console.log(vm.$data.count) // => 4
console.log(vm.count) // => 4
// vm.count に値を代入すると、 $data.count も更新
vm.count = 5
console.log(vm.$data.count) // => 5
// ... 逆もまた同様
vm.$data.count = 6
console.log(vm.count) // => 6
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これらのインスタンスプロパティは、インスタンスの初回作成時にのみ追加されます。そのため、 data
関数から返されたオブジェクトに、それらがすべて含まれていることを確認する必要があります。必要に応じて、必要な値がまだ利用できないプロパティには、 null
や undefined
、またはその他のプレースホルダーの値を使ってください。
新しいプロパティを data
に含めずに、コンポーネントのインスタンスに直接追加することはできます。しかし、このプロパティはリアクティブな $data
オブジェクトによって支えられていないので、 Vue のリアクティブシステム によって、自動的に追跡されることはありません。
Vue は、コンポーネントのインスタンスを介して自身のビルトイン API を公開する際に、 $
をプレフィックスとして使います。 また、内部プロパティのために _
を予約しています。トップレベルの data
プロパティの名前に、これらの文字からはじまる名前を使うことは避けるべきです。
# メソッド
コンポーネントのインスタンスにメソッドを追加するには、 methods
オプションを使います。これは必要なメソッドを含むオブジェクトでなければなりません:
const app = Vue.createApp({
data() {
return { count: 4 }
},
methods: {
increment() {
// `this` はコンポーネントインスタンスを参照
this.count++
}
}
})
const vm = app.mount('#app')
console.log(vm.count) // => 4
vm.increment()
console.log(vm.count) // => 5
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Vue は、 methods
の this
を自動的に束縛して、常にコンポーネントのインスタンスを参照します。これにより、メソッドがイベントリスナやコールバックとして使われる際に、正しい this
の値を保持することができます。Vue が適切な this
の値を束縛するのを防ぐため、 methods
を定義する際にはアロー関数を使うのは避けるべきです。
コンポーネントのインスタンスの他のすべてのプロパティと同様に、 methods
はコンポーネントのテンプレート内からアクセスできます。テンプレート内からはよくイベントリスナとして使われます:
<button @click="increment">Up vote</button>
上の例では、 <button>
がクリックされると、 increment
メソッドが呼ばれます。
また、テンプレートから直接メソッドを呼び出すこともできます。後で説明しますが、通常は変わりに 算出プロパティ を使うのがよいです。しかし、メソッドを使うことは算出プロパティが実行可能なオプションではない場合に役に立ちます。テンプレートが JavaScript の式をサポートしていれば、どこでもメソッドを呼び出すことができます:
<span :title="toTitleDate(date)">
{{ formatDate(date) }}
</span>
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toTitleDate
や formatDate
メソッドがどれかリアクティブなデータにアクセスすると、あたかもテンプレートで直接使われていたかのように、それはレンダリングの依存関係として追跡されます。
テンプレートから呼び出されたメソッドは、データの変更や非同期処理の発火などの副作用があってはなりません。もしそのようなことをしたくなったら、代わりに ライフサイクルフック を使うべきです。
# Debounce (デバウンス) と Throttle (スロットル)
Vue は、 Debounce や Throttle のサポートが組み込まれていませんが、 Lodash (opens new window) などのライブラリを使って実装することができます。
コンポーネントが一度しか使われない場合には、 methods
の中で直接 Debounce を適用することができます:
<script src="https://unpkg.com/lodash@4.17.20/lodash.min.js"></script>
<script>
Vue.createApp({
methods: {
// Lodash による Debounce
click: _.debounce(function() {
// ... クリックに反応 ...
}, 500)
}
}).mount('#app')
</script>
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しかし、この方法ではコンポーネントが再利用される場合に、すべてのコンポーネントが同じ Debounce 関数を共有するため、問題が起きる可能性があります。コンポーネントのインスタンスをお互いに独立させるために、 created
ライフサイクルフックに Debounce 関数を追加することができます:
app.component('save-button', {
created() {
// Lodash によるDebounce
this.debouncedClick = _.debounce(this.click, 500)
},
unmounted() {
// コンポーネントが削除されたらタイマーをキャンセル
this.debouncedClick.cancel()
},
methods: {
click() {
// ... クリックに反応 ...
}
},
template: `
<button @click="debouncedClick">
Save
</button>
`
})
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